F90Sタイプの量産モデルである。本来はサナリィ製であるF70キャノンガンダムが量産機として採用される予定だったが、長年のMS開発実績を持つ企業を無視できないという、政治的な理由からF70のライセンスはサナリィのままで、製造がアナハイムに委託された。しかしアナハイムの技術力では、同機の設計をそのまま引き継いで製造する事が出来なかった為、設計に修正を加えて量産ラインを確立したのが、本機である。
アナハイムの製造ではあるが、設計はサナリィであり、アナハイムの斜陽を象徴する機体とも言える。
設計に当たっては支援モビルスーツとして徹底的な最適化が成され、結果として機体の軽量化・効率化に成功。MSとしての総合性能では、アナハイムが独力で開発した白兵戦用量産MSであるヘビーガンを上回っている。ただしこの頃の連邦軍の仮想敵が飽くまで暴動レベルの反政府活動者であった為、暴徒鎮圧の対人戦闘に主眼が置かれており、多数のMSと対峙する集団戦ではいささかの見劣りは否めない。
尚、数値上はサナリィ製・ブッホ製MSに匹敵するジェネレーター出力・スラスター推力だが、使用されているジェネレーター・スラスターは旧来のアナハイム製であり、新型の小型核反応炉は搭載されていない。効率化により、ヘビーガンよりも更に大型のジェネレーターを搭載できる容積を確保した為で、サナリィによる設計の確かさが覗える。