ザクキャノンは、ジオン公国軍が開発したザクIIを基に建造され、ザクIIの右肩に対空砲を装備したバリエーション機である。当初は開発が凍結されていたが、連邦軍のガンキャノンの出現に対抗する形で、ドムの量産に平行して生産された。主な装備としては右肩の180mmキャノン砲、ランドセル左部に2連装スモークディスチャージャー、腰部の2連ロケット弾ポッド(ビッグガン)があり、モノアイは全周囲型に改良されたほかサブカメラも装備している。アンテナは通常1本だが2本の機体も存在し、ラビットタイプと呼ばれた。もとは、地球連邦軍の戦闘機に対するために作られた機体であるが、MSにも有効なことが分かり支援用MSとしても運用されるようになった。主に中距離や遮蔽物がある場合に運用された。すべての武装がランドセルに集約されていて、ランドセルが弾薬格納庫となっていたため、弾丸補充には他のMSの手を借りなければならず、運用上、不便な点があった。
カラーリングとして当初は北米・西アジア戦を想定してデザート・イエローが生産されたが、後にザクII同様のカラーリングであるダークグレー系のロージビリティ迷彩へと変更された。MS-06Jのバリエーションの一つでMS-06J-12の記述がある資料が存在する。主にキャリフォルニアベースに配置されたということが言われていたが、アジア戦でコジマ小隊がザクキャノンを発見したという記録が残されており、ジオン軍の想定通り北米・西アジア戦に配置されたと思われる。
一年戦争時に確認されている機体は僅かであった。ザクキャノン12機を擁する部隊は一年戦争終盤にキャリフォルニア・ベース防衛のために連邦軍を挟撃したものの連邦軍にキャリフォルニア・ベースを奪回され、フロリダ半島へ撤退した時点で終戦を迎えた。後に地球連邦軍が接収、ランドセルを改修し宇宙戦用に変更された機体がグリプス戦役で使用された。その時の機体のカラーリングは青と紫であった。