ララァ・スン

それがため、卓越した2人のニュータイプ(シャアとアムロ)は、同じ理想を持ちながらも、その14年後の『逆襲のシャア』(第二次ネオ・ジオン抗争)の時代に至るまで、結局相容れることができなかったのである。2人にとって大切な女性を殺された(殺してしまった)という遺恨は、それほどに深いものであった。
シャアと出会う以前の彼女の経歴は劇中では語られていないが、「救ってくれた人のために戦っている」という台詞から、相当に荒んだ環境に置かれていたことが窺われる。彼女は、こうした境遇から自分を救い出してくれた(自分の価値を認めてくれた)シャアに対して恋愛感情を抱いており、アムロが評するように本来「戦いをする人ではない」彼女が戦場に臨んだのも、ひとえにシャアの期待に応えるためであった。シャアも彼女の感情に応えていたようであるが、シャアのそれが本当の意味での恋愛感情であったかどうかは甚だ疑問である。『逆襲のシャア』では、彼女を指して「私の母親になってくれたかもしれない女性(ひと)」と語っている。
これを公式設定とするかは個人の気持次第では有るが、近年、ガンダムの原作者であり総監督である富野由悠季氏がアムロとララァ、そしてシャアとの関係のみにスポットを絞った小説「密会~アムロとララァ」において、シャアに拾われる前のララァの姿が描かれている。そこにはインドのガンジス川畔にある高級士官の為の売春宿に、生きる為に売られてきたとある。月に3~4人の相手をすれば苦もなく食べていけるその生活は、戦時中のインドにおいてはむしろ天国とも言える場所だったようだが、そんな生活を送りつつも、ララァは発作的に脱走を試みた事もあった。そんな中ガルマ戦死の責任を問われ、左遷され東南アジアを彷徨っていたシャアがこの売春宿に接待で連れて来られる。何かを感じていたシャアは、通された部屋でララァと遭いその才能を確信する。そしてシャアは金塊をつんでララァを身請けし、ニュータイプ研究所での実験を経て宇宙にあがることになった。

