ハイザックは一年戦争終結後、ジオニック社を吸収合併したアナハイム・エレクトロニクス社がモビルスーツ (MS) メーカーとして開発に漕ぎ着けた初の主力MSである。OEMとして地球連邦軍のMSを生産していたアナハイムは、これに旧ジオン公国軍の技術を融合した MSの開発を行った。設計思想の異なる連邦系とジオン系MSの差異は基本構造から駆動系、電装系まで及び、単純に二つの技術を折半するだけでは不十分で綿密な摺り合わせを必要とした。結果として完成した機体は、完全な新型機というよりは新素材による装甲と新型ジェネレーターを名機ザクIIへと組み込んだ改良型と言うべきものであった。それでも大幅な軽量化に成功したため、プロペラント積載量が増加し、バーニア・スラスター技術の向上などにより高い機動性を実現することができた。その上、生産コストが低かったため、先行量産型の評価を経て地球連邦軍の次期主力機として制式採用されることとなった。ザクIIと同じく汎用型のためあらゆる戦闘に対応できるが、目立った特長はない。
頭部センサーユニットはコストダウンと信頼性の維持のため、モノアイ方式を採用している。そのためザクIIに類似した外観となっているが、センサー機能は向上している。また、後頭部にはオプションラッチが設けられている。脚部スラスターユニットは先行量産型のものに偏向板を追加し、標準装備となっている。バックパックのスラスターにも偏向板が追加され、サブセンサーと一体化された放熱板は上部へと向きが変更となりフィンユニットと呼ばれることとなった。また、全天周囲モニターとリニアシートを量産機としては初めて導入した機体としても有名である。
全ての武装がオプション化され、ザクIIと同様に右肩部にオプションマウント用のラッチを設けたシールド、左肩部には格闘戦用のスパイクアーマーを装備する以外には固定武装を持たない。携行武装としてはセンサーを連邦の規格に合わせ、能力を向上させたザク・マシンガン改、あるいはマラサイと供用のEパック方式のビームライフルとを目的に応じて使い分ける。しかし、機体構造上、出力の低いジェネレーターしか搭載することが出来なかったため、ビーム兵器を2つ同時に使用できない。そのため、ビームサーベルとビームライフルを同時に運用することができず、ビームライフル使用時は近接戦闘用にヒートホークを装備する。ビームサーベル用腰部ラッチには3連装ミサイルポッドを2基接続することも可能である。前腕部ラッチに増設されるシールドにはEパック2つを収納可能である。このシールドはそれまでの左腕に装備されることの多かったジム系の機体から機種転換したパイロットには好評であった。
また、長距離射撃用にメガランチャーを運用することが可能である。もちろん本機のジェネレーター出力は十分なものではないため単機では使用できず、エネルギー充填用にもう1機を必要とする。
結局機体は新規に製造されたものの、旧世代の改修機ジムIIを出力で下回ることとなったハイザックは真の主力量産機にはなりえなかった。グリプス戦役では、地球連邦正規軍とその独立部隊ティターンズそれぞれで運用された。正規軍では青のカラーリングであったが、ティターンズではジオン軍残党への心理的効果を期待しザクIIを連想させる緑のカラーリングが採用された。