宇宙暦0074年、ジオン公国軍はMS-05 ザクIを初の制式モビルスーツと決定し、量産を開始した。だがザクIはジェネレーター出力の低さなどの問題を抱えた機体であり、このザクIの構造を抜本的変更により性能をさらに向上させた後継機「ザクII」が開発された。一年戦争の序盤戦において、大艦巨砲主義を引きずる連邦軍に壊滅的な打撃を与え、ジオン軍の快進撃の立役者となり、宇宙世紀の戦争におけるMSの優位性を決定づけた機体である。
主にザクIでは内装されていた動力伝達系統の改良や稼働時間の向上がなされ、この機体が完成したことでジオン公国軍は地球連邦軍に戦争を挑む事を決意した。この機体は汎用性が高く、オプション武器・装備も多彩で、様々な作戦環境に合わせてカスタマイズされた機体のバリエーションも多く作られている。
主要武装は専用の120mmマシンガン(ザク・マシンガン)、もしくは280mmバズーカ(ザク・バズーカ)を装備し、また対艦船用近接兵器のヒートホークも装備する。さらに左肩に棘(スパイク)付きのショルダーアーマーを装備しており、格闘時にタックルなどに利用することができる。なお、標準機ではスパイクは3本。稀に右肩の防御シールドにもスパイクを装着した機体も見ることができる。
一年戦争中の生産機数は、ザクIを含めて約8,000機と言われ、これは両軍を通して最高の生産数である。一説に約3,000機とするものもあるが、これはF型のシリーズ全体の生産数と同じである為、誤認であると考えられる。ただし、ジオン公国軍が生産したMSの総数を約4,000機とする資料もある。
その優れた設計と絶大な戦果によって、後のモビルスーツに多大な影響を与える事になる。特に機動性を重視した設計や、固定兵装を持たず様々なオプション装備で汎用性を確保する等のコンセプトは、後のMSのスタンダードとして定着してゆく事となる。また、人型の兵器による白兵戦が宇宙世紀の戦争形態となる事を決定付けた機種でもある。
戦争序盤は連邦軍を圧倒したザク系列だったが、後に地球連邦軍がガンダムと、その廉価版であるジムを開発して実戦投入すると旧式化が否めなくなり、戦争終盤では連邦のMSに圧倒されるようになってしまった。