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キシリア・ザビ

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キシリア・ザビは、ジオン公国軍突撃機動軍司令で階級は少将。デギン・ソド・ザビの長女。年齢は29~34歳(小説版では24歳)。

ギレンとは政治的に、ドズルとは軍事的に対立していた。乗艦はグワジン級戦艦グワジンあるいはグワリブ。末弟のガルマに対しては自分への忠誠心を持つようにある程度優しく接して利用していたようでもある。常に顔の下半分を覆うマスクをしている(公式には放射能焼けを防ぐため)が、その理由は戦場の血の臭いを嫌悪しているからだとも、女を捨てたからだとも言われている。兄ギレン同様、家族を始めとする他者を政治的な力関係でしか判断しない冷徹な人物と見られるが、少なくともガルマの葬儀に中々出ようとしないデギンに労わりの言葉をかけ、ギレンが父デギンを暗殺したことを知った際に見せた怒りは演技ではないと思われる。その点では、ギレンよりは多少人間性の強い側面を持っていると言える。もっとも、父を大切に思う娘の気持ちはしっかりと伝わっていたとは言いがたく、デギンはギレンに対する忠告を行なった際に「キシリアは何を考えるのか」と未来への危惧を一人ごちている。なお、腰だめ撃ち用のレーザーガンは彼女とシャア・アズナブル以外には装備を確認された人物はいない。将官で普段からヘルメットを着用しているのも例を見ないいでたちである。

THE ORIGINでは、手袋が白から黒に変るなど若干の変更が成されている。ジオン黎明期から政争に明け暮れた冷酷な野心家としての面が目立っており、それ故に成された行動には枚挙に暇がない(この時点ではギレンはほとんど目立った行動を取っていない)。 例えば、次兄サスロの暗殺については作中では明記されていないが、サスロ死亡時に慌てた様子がなく、彼女が些細な諍いからサスロを暗殺した犯人である可能性が示唆されている。また、キャスバルを暗殺するために、多数の乗客の乗る宇宙船をテロか事故に見せかけて爆破している。なお、キャスバルは自分によく似た友人シャア・アズナブルとすり替わって難を逃れた。 また、10歳にしてジオン・ズム・ダイクンの後継者として毅然とした態度を見せたキャスバルに畏れを抱き、一方で後に成長した彼のジオン入国を察知して暗殺命令を出した際には、「無名で朽ち果るつもりなら生かしておいた物を」と自身に言い訳するかの様な独白を発しており、畏れながらもキャスバルに惹かれる所があった事を伺わせている。「シャア・セイラ編」では髪が短く両側に跳ね上がっているなど容姿が若干異なっており、マスクを着用しておらず、ギレンにもへりくだる態度を見せていたが、「ルウム編」ではアニメ版のスタイルになっており、ギレンに対して平然と言い返すなど恐れをみせなくなった。一方ではアニメ版よりもデギンを敬愛している姿が強調されており、ルウム戦役後にデギンから「いざという時はギレンを止めてくれ」と嘆願されている。

若くして政治に目覚めており、長兄ギレンに対抗するため軍事力や政治ルートなどを独力で確立する必要があったが、これは正攻法では困難だった。そのためか、モビルスーツやニュータイプなど新しいものに目をつける傾向が見られる。大佐時代の宇宙世紀0078年10月には、モビルスーツ戦の利点を説いて宇宙艦隊を重視していた三男ドズルと対立し、両者とも自説が容れられなければ軍籍を離脱するとまで発言している。結局ギレンの調停により、ジオン公国軍はドズルの指揮する宇宙攻撃軍とキシリアの指揮する教導機動大隊をベースとした突撃機動軍に分裂することとなった。なお、一年戦争中にも戦略海洋諜報部隊の本拠となるキャリフォルニアベースの取り扱いについてドズルと対立。ドロス級大型輸送空母ドロワ(ただし未完成)を譲ることでドズルの譲歩を得ている。

長兄ギレンと政治的に反目する過程で、自己の政治勢力を拡大することに腐心していった。月の裏側、グラナダ基地を根拠地とし、末弟ガルマ・ザビ麾下の北米方面軍によって北米大陸を押さえる一方、そのガルマの死を怒るドズルによって左遷されたシャアを登用してマッドアングラー隊(大西洋潜水艦隊)を預けたり、腹心マ・クベ大佐を地球に派遣して中央アジア(オデッサ)を中心に鉱物資源を採掘させるなどした。サイド6の中立化政策も彼女の発案とされている。ニュータイプに対しても一定の理解があり、フラナガン機関を創設した。とはいえ、これはニュータイプの概念を理解したというよりも、兄ギレンに対抗する政治的発言力を強化するための手段としか考えていなかったようである。

なお、前掲の『THE ORIGIN』では連邦軍によるソロモン攻略戦の際、TV版においては見殺し同然に扱っているドズルの元へ一個軍団を擁する空母ドロスに自ら搭乗して向かうが、連邦軍やギレンの動きを巡る政治的駆け引きによりシャアの讒言に乗り、ドロスを援軍として送ることを中止する。

シャアとは、彼がダイクンの息子キャスバルだった時に「幼い頃に遊んでやった」間柄でもあり、後にその正体を見破るが、彼の目的がザビ家打倒からジオニズム実現へと移行しているとの言質を取った上で、逆に自分の懐刀として使うことを伝えている。彼女が「シャア=キャスバル」であることを悟った際の心理は小説版で詳細に描写されており、劇場版もこれに準じている。幼いキャスバルの聡明さを愛していたせいか、その正体を知りながらもシャアに対する信頼は篤く、政治的計算の他にも期待するところが大きかったようである。

宇宙世紀0079年12月31日、長兄ギレンが父デギンを謀殺したことを知り、これを機に宇宙要塞ア・バオア・クーの戦いの最中に司令部でギレンを射殺。兄に代わって総司令となるが、皮肉にも戦況はこの暗殺による指揮系統の一時的な混乱を契機としてジオン軍の敗色が濃厚となる。

戦局が絶望的となった時点で、司令部のトワニング大佐(若しくは准将、少将説もあり)に事後処理を任せ、ザンジバル級機動巡洋艦(艦名はズワメルとする説がある)で脱出を図るが、発進寸前にシャアがブリッジに向けて放ったバズーカの直撃によって死亡。なお、艦も出港と同時にサラミスの砲撃で撃沈しており、どの道脱出は不可能だった可能性も高い。最期の瞬間、自分に砲口を向けるシャアを確認した時の表情は驚愕に充ちたものだった。これはこのとき、彼女はシャアが搭乗していたジオングからの識別信号が途絶した報告をされており、シャアを戦死したものと思っていたこともあるだろう。一年戦争終結当時、キシリアの死をもってザビ家の血筋は絶えたと思われたため、ザビ家とジオン公国は完全に崩壊したと見られた。

小説版では、ランバ・ラルハモンから受けた警告に従ってア・バオア・クーの宙域を直ちに離脱したことにより、ギレンが連邦軍とキシリアを同時に屠ろうとしたソーラ・レイの直撃を辛くも逃れている。その後怒りに燃えてシャアやカイたちペガサスクルーと共にズム・シティへ乗り込み、追い詰めたギレンをシャア専用リック・ドムの掌上から「ビーム・ライフル」で射殺。しかし、直後にシャアが文字通りリック・ドムの「掌を返し」たため、地上に墜落死するという最期を遂げている。なお、小説版では彼女自身にもニュータイプの素養があったとされている。

トミノメモにおいては、ギレンを排除する暇もなくグラナダで連邦軍と交戦、自らも宇宙用アッザムでシャアとともに前線に出るものの敗北、シャアに刺殺されて生涯を閉じる。TV版と同じくシャアの正体を見抜いていたため、覚悟して彼に討たれた。

ゲーム『ギレンの野望』では、彼女を指導者とした「正統ジオン」をプレイすることが可能。ニュータイプに積極的に興味を示していた劇中の設定が反映され、ニュータイプのパイロットたちを最初から使用できる。

沖一の漫画『ガンダムパイロット列伝 蒼穹の勇者達』でのジョニー・ライデンを主役にした漫画では、ライデンが少女時代のキシリアに助けてもらったことがあり、彼がジオン軍パイロットに志願するきっかけになった憧れの女性だったように描かれている。こうしたストーリーの性格上、キシリアの容貌は従来のTVシリーズや安彦良和の漫画『THE ORIGIN』のようなきつい年増風の顔ではなく、マスクをした美女のように描かれていた。

24歳という設定は小説版のみに明白だが、その外見からガンダム関係の漫画ではしばしば年増呼ばわりされるネタとなっている。なお、兄弟としてキシリアとドズルのどちらが上なのかは、解釈が分かれる。「ソロモン攻略戦」で、ドズルがゼナに対して言っている「姉上のいる、グラナダに行くがいい」という台詞の「姉上」をキシリアのことと判断しているファンが多い。しかし同じ回でドズルはグラナダへの援軍要請を進言した部下に対して「キシリアへか?国中の笑いものになるわ」と答えており、明らかに「キシリアを目下」としてみている。つまり、ここで言う「姉上」とは「ゼナの姉」であって、キシリアではないとする説もある。ただし、軍人としてはドズルが中将、キシリアが少将とドズルの方が上であることから、やはりキシリアが姉で、前述の台詞はドズルが軍人的な対立と家族的な繋がりを混同しない事を示している、という解釈もある。マ・クベ大佐がゼナおよびミネバを保護していることから考えても、「姉上」は「キシリア」とすることが妥当とする意見もある。 声優を務めた小山まみは、少なくとも24歳の役として演じさせられ、当時同い年だったためギャップに当惑したことを語っている。

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